京都大学 工学部 理工化学科 化学プロセス工学コース

京都大学大学院 工学研究科 化学工学専攻

自然・再生可能エネルギー生成、高効率エネルギー利用など、資源および環境問題の解決につながる技術の開発を行っています。

1. 高効率・低コスト太陽電池の開発

私たちの直面しているエネルギー資源枯渇問題と地球温暖化問題を解決するとして、太陽電池への期待が高まっています。しかし、太陽電池の大規模な普及には、現状からの大幅な高発電効率化と低コスト化が必要です。このようなニーズに応えるために、AIを活用した太陽電池の新規材料系の開拓や、低コスト作製法の提案、また、新動作原理やセル構造の検討といった研究を行っています。

2. 水素貯蔵システムのモデル化および新規高性能実用装置の開発

水素貯蔵システムのモデル化および新規高性能実用装置の開発エネルギー面で持続可能な社会の実現に向け、ローカルな電力貯蔵技術の確立は重要です。高容量密度の水素貯蔵用途に金属のナノ構造体が近年注目を集めています。水素の吸脱着ダイナミクスのモデリングを通し、律速素過程の理解から系全体としての水素吸着・吸収速度を大幅に高めるような新規工学手法の導入などについて検討しています。

3. 宇宙での高品質半導体材料・高性能デバイス製造の検討

宇宙空間が天然の超クリーンルームであることや、無重力状態のもたらす種々のメリットに着目し、高品質な半導体材料や高性能な電子・光デバイスの作製法について、今後の宇宙時代を見据えた基礎研究を行っています。自立して地産地消を達成する"宇宙工業団地"構想の検討も行っています。

4. 核融合発電システムに向けたナノ材料工学の研究

次世代エネルギーとして期待される核融合発電の実現には、過酷条件に耐える適切な反応器や熱機関、また、粒子循環系の構築が必要不可欠です。ナノ構造体や表面、界面の特性に着目し、炉材料や物質・熱輸送に関する研究を行っています。

5. 情報熱力学の基礎的検討および応用

エネルギーと情報量が等価で変換可能であることを活用した新たな熱力学の研究を行っています。一例として、情報や環境の秩序および熱的ゆらぎから仕事を取り出すようなナノスケールのエネルギー変換素子の検討を進めています。また、化学反応やプロセス、さらには神経科学といった分野への適用を模索しています。

6. 複雑流体に対するマルチスケールな流動予測手法の開発

エネルギー的に最適な成形加工の実現を目標とし、複雑流体、例えば高分子溶融体の流動挙動を予測する計算手法を開発しています。特に、ミクロな分子モデルを基盤としてマクロな流動予測を行う手法について検討しています。